理想の人たちと自分を比べてしまう
駅のホーム
何気なく、
前を見る
細い人が歩いている
「あんな体型、いいな」
そう思った
会社へ着く
同じ部署の人
「あの人も細い」
昼休み
コンビニへ向かう途中
また、
細い人とすれ違う
帰りの電車
スマホを開く
SNSには、
ダイエット成功の投稿
「−10kg達成」
「人生変わりました」
「好きな服が着られるようになった」
画面を閉じる
ゆうくんは、
小さく息をついた

なんでだろ
みんな
普通に細く見える
なんで
自分だけなんだろう
その言葉は、
誰にも聞こえなかった
でも
きっと、
心の中では何度も言ってきた言葉だった
また比べてる
こんなこと考えちゃダメなのに
SNSもよく見る
でも
できない
街を歩けば
誰かが目に入る
会社へ行けば
誰かと並ぶ
比べるなって
どうやるの
ゆうくんは、
少しだけうつむいた
その時だった
もぐみちゃんが、
静かに口を開く

私もね
比べるなって言われると
逆にもっと比べちゃうことがある

比べちゃダメ
気にしちゃダメ
そう思うほど
余計に気になっちゃうんだよね
ゆうくんは、
思わず笑った

分かる
本当に
それ
部屋が静かになる
その静けさを、
ゆっくり破るように
カロリー信者が、
口を開いた

ねぇ、ゆうくん
人って本当に
比べずに生きられると思う?
ゆうくんは、
少し考えた

……無理かも
だって毎日いろんな人を見るし
会社でも
街でも
SNSでも
自然と目に入っちゃう
カロリー信者は、
静かに頷いた

そう
人はね
比べることで生きている生き物なんだ

身長
勉強
仕事
年収
顔
体型
全部
比べる相手がいるから意味を持ったり
してしまうこともあるよね
部屋が静かになる

もしこの世界に君しかいなかったら
もっと痩せたい
もっとかっこよくなりたい
もっとおしゃれしたい
そんなふうに思うかな
ゆうくんは、
ゆっくり首を振った

たぶん
思わない

だから
誰かを意識すること
誰かと比べてしまうこと
それ自体は、悪いことじゃない
むしろすごく人間らしいことなんだ
ゆうくんは、
少しだけ肩の力が抜けた

じゃあ
比べちゃう俺は
おかしくないんだ

もちろんおかしくない
でもね
本当に苦しいのは
比べることじゃない
比べ方なんだ
ゆうくんは、
少し首をかしげた

比べ方?

会社でや街中で
細い人を見る
SNSで
成功した人を見る
でも君は
その人の何を知ってる?

……。
何も知らない

そう、その人たちの
休日の過ごし方も
毎日の食事も
どれくらい歩いているかも
昔どんな体型だったかも
何も知らない

でも
自分のことだけは全部知っている
夜中にお菓子を食べた日
運動できなかった日
体重が増えて落ち込んだ日
全部知っている

だから
相手の見えている10%と
自分が知っている100%を比べてしまう
それじゃ
苦しくなるのも当然なんだ
ゆうくんは、
ハッとした

そうか
俺
勝手に負けてたんだ
相手の全部を知らないのに
もぐみちゃんは、
優しく笑った

私もね
SNSをみると
みんな順調そうに見える

でもきっと
泣いた日も
食べすぎた日も
途中で嫌になった日も
あるんだろうなって思う
カロリー信者は、
静かに頷いた

だから
憧れる人がいてもいい
目標にする人がいてもいい
でも
ゴールだけは
他人にしないでほしい

もっと細い人は
必ず現れる
もっとかっこいい人も
もっときれいな人も
人と競争していたら
ゴールは一生来ない

だから
目標は他人でもいい
でも
ゴールは未来の自分
それだけは
忘れないでほしい
ゆうくんは、
静かに笑った

1か月前の俺
夜中にジュース飲んでたな
今は
お茶になった
少し歩くようにもなった

体重は
そんなに変わってないけど
少しは
前へ進めてるのか
もぐみちゃんは、
嬉しそうに笑う

うん
その変化って
他の人には見えないかもしれない
でも、ゆうくんの体は
ちゃんと覚えてるよ
誰かを見て、「いいな」と思うこと
それは悪くない
でも
今日まで頑張ってきた自分も
少しだけ見てあげてほしい
カロリー信者からひとこと
他人を見て「いいな」と思うことは、悪くない
でも、あなたのゴールは他人じゃなく、「未来のあなた」でいい
今日の一歩
今日は、
誰かと比べることを無理にやめなくても大丈夫です
その代わり、
一か月前の自分を一つだけ思い出してみてください
歩くようになった
ジュースを減らせた
水を飲むようになった
夜食が少し減った
どんなに小さくても、
その変化は、
あなた自身が積み重ねてきた努力です
他の人には見えないかもしれません
でも、
あなたの体は、
ちゃんと覚えています

